アロマサロンの知識

アロマの知識


<アロマトリートメントの作用って?>

アロマテラピーには、心に対する働き、体に対する働き、皮膚に対する働きという3つの作用があり、心と体に同時に働きかけます。また、精油のもつ肌への美容効果も期待できます。

アロマの作用心に対する働きアロマの作用

精油を嗅ぐとエンドルフィン、セロトニン、アドレナリンなどが分泌されるといわれています。
これらは、多幸感や情緒の安定、心を鼓舞・活気づける、鎮静などの効果をもたらす脳内の神経伝達物質(脳内モルヒネ)です。香りによって刺激される大脳辺縁系、視床下部、下垂体といった脳の部位は、情動、記憶、本能行動、食欲、性欲、睡眠欲、自律神経系や内分泌系の働きをコントロールしています。これらは心の影響を受けやすく、感情が安定していると円滑に働き、病気にもなりにくいことがわかっています。
心地よく、気持ち休まる香りを選んでみましょう。

アロマの作用体に対する働きアロマの作用

精油成分には、免疫系を強化して体がウィルスや細菌と戦う力を高める、血液やリンパ液の流れを促す、腎臓や肝臓、胃など体の各器官を刺激して働きを向上させるなどの効果が知られています。トリートメントそのものにも同様の効果と筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する効果があります。精油成分の作用とトリートメントによる刺激は、複合してプラスの効果を発揮します。

アロマの作用皮膚に対する働きアロマの作用

精油成分には肌の調子を整え、スキンケアに役立つものが多数あります。殺菌消毒作用もあるため、ニキビや傷のケアにも使えます。好きな香りで心地良さを感じ、リラックスすると、血管が拡張し、同時にトリートメントによっても血流が促進され、結果的に皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)の活性化につながります。
また、皮膚と心は常に密接に関係しており、皮膚へのやさしい触覚刺激が情緒を安定させ、ストレスへの耐性を高める効果があります。

アロマトリートメントは、ただ「気持ちいい」「リラックスできる」だけではないのです。
ご自分の好きな香りに包まれながら、施術を受けると、あなたの体内に溜まった老廃物を一気に流し、心身ともに健やかな状態に導いてくれます。
いつもハッピーでいることやいつも健康でいることは不可能ですが、何かあった時にアロマはあなたの心と体の自然治癒力を最大限にアップしてくれる自然療法なのです。
アロマを取り入れていると、いつの間にか、心も体も強くなっているご自分に気づくはずです。


<セラピストのタッチングの効果>

当サロンにいらっしゃるお客様の9割は、アロマトリートメントの最中にいつのまにか自然と眠ってしまいます。みなさま、「あれ??寝ちゃってたみたい・・・」とびっくりされます。
それは、どうしてかというと、温かな手でやさしく包み込まれるように施されるトリートメントは、こわばった体を緩め、頭の疲れをほぐしてくれるからなのです。

「手当:タッチング」という言葉がありますが、「やさしくなでさする」という行為がひとつのセラピー(療法)として効果を発揮するのです。

皆さんがまだ幼かった時、風邪をひくと、お母さんがおでこや頭をなでてくれませんでしたか?
そして、さすってもらううちに、だんだん気持ちが落ち着いて眠ってしまった体験はありませんか?
触れることは、親密さや愛情を伝え、言葉ではないコミュニケーションがそこに生まれます。

言ってみれば、自分と外部との境界が皮膚です。皮膚がトリートメントされることで無意識のうちに自己を再認識し、ここに存在するという実感、おさまるところにおさまったという感覚、起きている心地よさをただ静かに体感する、それらが精神的な安定をもたらすのでしょう。触れ合うことで生じる皮膚感覚は、まさにその瞬間に起きているリアルな感覚以外のなにものではなく、「今」という時を実感させてくれます。
意識は、「今、現在」にとどまることがとても難しいもの。 過去にも未来にも思いをめぐらせてしまい、それが心や頭を疲れさせる原因にもなっています。

次に、タッチングがなぜ脳を休ませるのか、発生学の点から考えてみましょう。
あまりピンとこないかもしれませんが、皮膚をなでることは脳をなでることと実は同じことなのです!!
受精卵が細胞分裂を繰り返し、外胚葉・内胚葉・中胚葉の3つの皮膚に分かれる時期を経て、それぞれの胚葉が心臓、胃、皮膚などの器官となり、やがて体を完成します。このとき、外胚葉と呼ばれる部分が外側に露出したものが皮膚、内側に入り込んだものが脳と神経になります。同じところからわかれた脳と皮膚。皮膚への刺激は、間接的に脳を刺激することにつながるわけです。
ゆっくりとやさしく圧を加える接触も、脳を落ち着かせる効果があることがわかっています。同じ接触でも、恐怖や不安感、痛みを伴う体験は心の奥深くに記憶され、脳の海馬が委縮してしまう例もあるそうです。アロマトリートメントは、お互いが心地よく思える触れ合いが一番大切です。

次に、痛みのゲートコントロール説と香り・タッチングについて触れたいと思います。
打撲やけがをした時、その刺激は抹消神経によって脊髄に伝わり、脊髄にあるゲート(門)が開いて脳へと伝えられ、はじめて「痛み」として認識されます。この痛みを感じる仕組みに香りやタッチング、感情が関係することが最近わかってきました。
不安、恐怖の感情はゲートを開き、痛みを増幅する方向に働きます。また、長く続く痛みは交感神経を緊張させ、発痛物質を作り出すことも知られています。
歯医者さんの待合室で、診察室から聞こえてくる「キーン!」という治療の音を聞くだけで、歯が痛くなったことはありませんか?それがこの現象です。

一方、喜びの感情、高揚感、やさしくなでる・さするなどの触覚刺激はゲートを閉じ、痛みを軽減する方向に働きます。「痛いの痛いのとんでいけ~!」が効果的なのは、言葉かけによる安心感やなでることでゲートを閉じるからです。
ゲートを閉じて痛みをブロック・軽減するという理論を「痛みのゲートコントロール説」といいます。指先を切る、針で刺すなど瞬間的で鋭い急性の痛みの信号はとても早く伝わり、あまりブロックされませんが、慢性的で鈍い痛みの信号は脳へ伝わるスピードが遅く、タッチングや香りの刺激でブロックされやすいのです。
また、心地よさを感じる香りや触れ合いは、鎮痛作用がある神経伝達物質(脳内モルヒネ)の分泌を活性化すると考えられています。

私たちの脳は、絶えず色々なことを考え、疲れが蓄積されていきます。定期的にアロマトリートメントを受けて、ご自分の頭の疲れをやさしくほぐしてあげましょう。
「もっと頑張らなきゃ」も大切ですが、「いつも頑張ってる私にご褒美」とご自分を褒めてあげるひと時も大切にしてあげてくださいね。